夏休みが終わり新学期が始まって二週間経ったが、残暑が厳しくて生活は未だにダラダラ状態だった――なのに天地蒼穹という男は容赦(ようしゃ)のない男だった。週末になると連絡を入れてきて、私を外に連れ出すのだ。

『今日もお出掛け?』

祖母は勘が良い。誤魔化しきれなくなるのも時間の問題だろう。何か手を考えねば!

「どこに向かっているんですか?」

そんなことを考えつつ、助手席から彼に質問する。

この車に乗るのは今回で二度目だ。車に興味がない私でも、これがファミリーカーと言われるワンボックスカーだということは知っている。

独り者にどうしてこんな大きな車がいるのだろう? そんな疑問を抱いたが、それは前回の帰路の時にすぐ解明された。向かった先から持って帰る荷物が尋常じゃないほど多かったのだ。それも意味不明な物ばかり……。

それを積んだり降ろしたりするのは私だった。今回もかも……と考えるとゲンナリする。

「今日は湘南(しょうなん)までドライブだ」

ドライブ……聞こえは良いが、「そこ、七夕に縁がある所なんですね?」と問うと、案の定、「そうだ」という肯定の言葉が返ってきた。

「関東三大七夕祭りの一つ〝湘南ひらつか七夕まつり〟が開催される地だ。知らないのか?」

前回同様、馬鹿にしたように問う。前回はその関東三大七夕祭りの一つ〝入間川(いるまがわ)七夕まつり〟が開催される埼玉県狭山市(さやまし)(うかが)った。

「ちなみに、残る一つは……?」