「お前は言っているだろう『はい、できる限り頑張ります』と。どうだ!」
鬼の首を取ったように山伏がふんぞり返る。
「だって、あれはお芝居だったんでしょう?」
「アホか! 俺がいつ芝居をした? あいつらに話したことは全て本当のことだ」
三回目のアホかに心が折れる。
「――嘘でしょう? 本当に大学の助教授なの?」
「まあな」と山伏が鼻の下を擦る。その態度がやけに鼻につく。
「あの時点でお前は俺の助手となった。反故にはできない。ということで、よろしく頼むぞ、ミライ」
頼られたら断れないが……今回ばかりは断りたい。
「その代わり、ちゃーんとお前に憑き纏っている悪霊は退治してやる。安心しろ」
安心しろと言われても、悪霊の存在自体が未だ信じられないのに、何をどう安心すればいいのやらだ。
さらに、「これで俺の未来も安泰だ」が、『これで〝俺のミライ〟も安泰だ』に聞こえ、またまた赤面する――もしかしたら、ではなく、山伏はやっぱり人タラシだ。
頭を掻きむしっている私を、「何をしているんだ?」と呆れ眼で見遣り、「ほら、さっさと出せ」と強制的にスマートフォンを出させ、私のプライバシーを奪った。
それもこれも肥沼の御大のせいだ! 孫の嫁なんて一生見つけてやるものか!
そう思っていたのに――私が見つけなくても孫が自力で見つけてきた。
鬼の首を取ったように山伏がふんぞり返る。
「だって、あれはお芝居だったんでしょう?」
「アホか! 俺がいつ芝居をした? あいつらに話したことは全て本当のことだ」
三回目のアホかに心が折れる。
「――嘘でしょう? 本当に大学の助教授なの?」
「まあな」と山伏が鼻の下を擦る。その態度がやけに鼻につく。
「あの時点でお前は俺の助手となった。反故にはできない。ということで、よろしく頼むぞ、ミライ」
頼られたら断れないが……今回ばかりは断りたい。
「その代わり、ちゃーんとお前に憑き纏っている悪霊は退治してやる。安心しろ」
安心しろと言われても、悪霊の存在自体が未だ信じられないのに、何をどう安心すればいいのやらだ。
さらに、「これで俺の未来も安泰だ」が、『これで〝俺のミライ〟も安泰だ』に聞こえ、またまた赤面する――もしかしたら、ではなく、山伏はやっぱり人タラシだ。
頭を掻きむしっている私を、「何をしているんだ?」と呆れ眼で見遣り、「ほら、さっさと出せ」と強制的にスマートフォンを出させ、私のプライバシーを奪った。
それもこれも肥沼の御大のせいだ! 孫の嫁なんて一生見つけてやるものか!
そう思っていたのに――私が見つけなくても孫が自力で見つけてきた。