千里眼 -Second Sight-

「で、この子は私の助手。姪だけあってとても優秀なんだ、ねっ」
「うわぁ、羨ましい。俺もこんな山伏、叔父さんに欲しい!」

店員たちは口々に山伏を褒め称え、持ち上げる。さらには私に、「先生の功績に尽力(じんりょく)して上げて下さい」と乞うてくる。

私は……というと、頼られたら断れない性格が災いして、「はぁ、できる限り頑張ります」と答える始末。

現状を(かえり)みて、流されている、と猛反省していると、店頭から「すみませーん」と声が聞こえた。

「あっ、お客さんだ」店員二人は、「では、失礼します」と九十度のお辞儀をして慌てて店内に戻っていった。

何だったんだろう……妙に疲れた。彼らの背中を見送りながらグッタリしていると、「連絡先を交換しておこう」と山伏が胸元からスマートフォンを取り出した。

「どうして?」プライベートなことをこの人に教えなきゃいけないのだ? プイッとそっぽを向くと山伏は私の頭頂部に手を置き、クイッと自分の方に私の顔を向けた。

「お前は自分の言った言葉に責任が持てないのか?」
「意味が分かんなんですけど。それより、頭から手を退けて下さい」
「そうか、では、思い出させてやろう」

山伏は手に持つスマートフォンをササッと操作した。するとそこから、ついさっき交わされていた会話が聞こえてきた。