彼女たちのことは鬱陶(うっとう)しいが、仰々(ぎょうぎょう)しく祓ってもらうほどでもない。それに、こんな人に祓ってもらったら後が怖い。

「自分でなんとかします」

だからそう答えたのだが、山伏が眉間に皺を寄せ、「本当にアホーだな」と、本日二度目のアホを口にした。

「お前が逆らえば逆らうほど悪霊の宿主は怒りを募らせる。それこそが悪霊の馳走(ちそう)となる。お前は悪霊を太らせて食うつもりか?」

そんなグロいものを食べる趣味はない。

「話し合えば何とか――」
「ならないのが悪霊だ!」

あー言えばこー言う。頭の回転が速いのだろう。こういう輩は苦手だ。

「――いかほどですか?」

だから、助手になるよりお金で解決した方が後腐れなく別れることができそうだと思い訊ねる。

「そうだなぁ、三人で三十万。と言いたいところだが、高校生にそんな金は払えないだろう。だから、学割価格で十万。どうだ、おおまけだぞ」

「学割で十万円! そんなお金あるわけないじゃないですか」

驚き呆れる私を山伏は目を細め、薄―い目で私を見る。

「それぐらい今どきの高校生なら持っているだろう? あの三人組だって、お前にカンパしてもらわなくても財布に万札を何枚も持っていたぞ」

「どうして、そんなことを知っているんですか?」
「このところあいつらを追ってたんだ。金になると思ったからな。やはりなった」

悪びれず胸を張る山伏を今度は私が薄い目で見る。