そして、アッという間に二つのアイスを食べ終えた山伏は、ようやく一個食べ終えた私に、「(のど)が渇いた冷たい焙じ茶が飲みたい」と催促する――三倍返しと口の中で呟き、またコンビニに戻る。

「お茶の次は『腹が減った』と(おお)せかと思って、唐揚げとお握りも買ってきました」
「なかなか気が利くじゃないか」

頬を緩めながら山伏はお握りに手を伸ばし、早速に外装を()がして(かぶ)り付いた。

「それで、話とは何でしょう?」

長居は無用とばかりに訊ねると、山伏は口をもぐもぐさせながら、「お前、霊が視えるんだろ?」と事も無げに言った。

先日の件があったので驚きはしなかった。だから開き直って「だったら?」と訊ね返した。

「なのに、視えなかったのか?」
「何がです?」
「あの三人に憑いている悪霊が」

これには驚き「へっ?」と間抜けな声が出てしまった。

「と言っても、あの一番偉そうにしている女以外の悪霊は雑魚(ざこ)だがな」
「悪霊に憑かれているんですか? 彼女たち」
「ふーん、なるほどねぇ。お前はまだ全開眼していないのか」

何が『ふーん』なのか分からないが、山伏は自己完結するとゴクリとお茶を飲み、口を潤すとさらに話を続けた。