マッチングサービスみたいなことを高校生の私が何故しなくちゃいけないのだ、と思うが、御大は怒ると怖い。霊の真髄(しんずい)をこれでもかと見せ付けてくる。だから、情けないがそれ以上の口答えはできずにいた。

だが、生者が相手なら恐怖はない――とこの時は思っていた。

「臭いと言うなら貴女たちの方じゃないかしら? 夏にこの香水の匂い、無いわ。気分が悪くなる」

だから、当然のように言い返した。

「まぁ! 貴女って本当に生意気ね」

顔を真っ赤にして怒り出したのは住友さんだった。どうやらこのキツイ匂いの元は彼女みたいだ。

自分で気付いているならつけなければいいのにと思っていると、〈あの女子はワキガの匂いに悩んでおりましてな、病院通いをしておるんですわ〉と、その理由を何故か御大が述べた。

そして、〈この辺りの金持ちは全てリサーチ済みでしてな〉と、何でもないことのようにシレッと付け加えた。家業のためみたいだが、御大は死して尚、仕事熱心だった。

「ちょっと、どこ見てんのよ!」

御大に気を取られていると、前回同様、彼女も無視されたと思ったのだろう、さらに顔を真っ赤にして怒鳴った。

「あのね、気に障るなら私に関わるのを止めたら? どうして突っかかってくるの? 私、貴女たちに何かした?」

彼女たちとまともに会話をしたのは先日の一件が初めてだ。絡まれる理由が分からなかった。