〈なぁ、早く写真を見つけて処分してくれよ〉
浅井青年の垂れ下がった目玉が隣の部屋の方を見る。どうやら、彼は犯人捜しに全く興味がないようだ。先程から交わされている会話に無反応だということは、そういうことだろう。
でも、私はとても気になる。
「長政は本当に可愛い子だったからね。異性のみならず同性でも好きになっただろうよ」
安乃さんの言葉にドキリとする。
――浅井青年の秘密を知っているのだろうか?
「水谷さん、あんたが何を思ってここに来てくれたかは知らないが、事件の真相が明らかにされても長政のこと、嫌いにならないでやっておくれ」
安乃さんの言葉に以知子さんが泣き崩れる。松・竹・梅のお三方もハンカチで目元を拭っている。
まさか……彼らは知っているの?
『第六感がビビッとシナプスを刺激して、未使用の潜在能力が解き放たれる』
この台詞は祖父の口癖だ。予期せぬことや驚くような事態に陥った時に口走る。意味は、そういう時に思いがけない発見があるということだそうだ。イマイチ要領を得ないが、要は〝火事場の馬鹿力〟的なことらしい。
今、私はまさにそのビビッの状態だった。
しかし、第六感に従って行動を起こせば――浅井青年の頼みに背くことになる。背いたら、きっと恨まれる。恨まれたら……祟られる。それはちょっと嫌かな。
浅井青年の垂れ下がった目玉が隣の部屋の方を見る。どうやら、彼は犯人捜しに全く興味がないようだ。先程から交わされている会話に無反応だということは、そういうことだろう。
でも、私はとても気になる。
「長政は本当に可愛い子だったからね。異性のみならず同性でも好きになっただろうよ」
安乃さんの言葉にドキリとする。
――浅井青年の秘密を知っているのだろうか?
「水谷さん、あんたが何を思ってここに来てくれたかは知らないが、事件の真相が明らかにされても長政のこと、嫌いにならないでやっておくれ」
安乃さんの言葉に以知子さんが泣き崩れる。松・竹・梅のお三方もハンカチで目元を拭っている。
まさか……彼らは知っているの?
『第六感がビビッとシナプスを刺激して、未使用の潜在能力が解き放たれる』
この台詞は祖父の口癖だ。予期せぬことや驚くような事態に陥った時に口走る。意味は、そういう時に思いがけない発見があるということだそうだ。イマイチ要領を得ないが、要は〝火事場の馬鹿力〟的なことらしい。
今、私はまさにそのビビッの状態だった。
しかし、第六感に従って行動を起こせば――浅井青年の頼みに背くことになる。背いたら、きっと恨まれる。恨まれたら……祟られる。それはちょっと嫌かな。