一人だけ生き残った私は、罪悪感(=サバイバーズ・ギルト)から自分の誕生日である七月七日を忌み嫌っている。

(ちな)みにサバイバーズ・ギルトとは、災害や事故などで奇跡的に九死に一生を得た人が、自分だけ助かったことにより、罪悪感を覚え、それを抱え込んでしまうことだ。

サバイバー(生き残り・生存者)が陥る様々な症状(サバイバー症候群)も、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の一種と知ったのはもう少し後のことだが、私の負った傷はそれだけではなかった。

両親を亡くしたショックと目が見えないという現実、それに記憶の欠如に加え、実は養女だったというセンセーショナルなる真実まで明るみに出てきたのだ。それも、ようやく退院したと思ったその日に。

もう再起できないほど心が折れた。

食べることも眠ることもできず、どんどん痩せていった――が、不思議なことに自覚は全くなく、気付いたのは私を引き取ってくれた父方の祖父母だった。

祖父母の家とマンションはスープの冷めない距離にあったが、一軒家にもかかわらず別居という形をとっていた。それは頑固一徹を地でいく祖父と、ちょっと頑固だった父の仲があまり良くなかったからだ。

『お前は死にたいのか!』

祖父は悪い人ではないが、心配しすぎると感情のまま怒りをぶつけることがあった。歳を取って随分マシになったが、この時は何を怒っているのか分からず、とても(いきど)った。