〈一応紹介しておくと、松さんの隣が(たけ)さん、その隣が(うめ)さん。三人はシニア会のメンバーで、その会長が安乃バアちゃん。きっとバアちゃんが皆を招集したんだ。仲がいいんだ、この四人〉

そして、その四人とも浅井青年を可愛がっていたのだろう。安乃さん同様、目と鼻が真っ赤だった。

「さぁさぁ、ここに座って」

そう言って一足早く和室に入った安乃さんは、三人の向かい側の枕元に座った。

促されるまま安乃さんの隣に座り、「あっ」とさっきの違和感の正体を知る。
布団が山を作っていないのだ。

「驚くのも当然だ。長政はもうお棺に収められているんだよ」

私の様子に気付き、そう言いながら安乃さんは枕の上にある白いハンカチを取った。

「これ……」

枕の上にぽつんと寝かされていたのは、戦国武将のフィギュアだった。

理由は聞かずとも知れたことだ。いくら何でもあんな姿を人様に見せたくない、という母心だろう。おそらく、あのフィギュアは浅井長政。

――確かに、なかなかのイケメンだ。

〈俺、あれより豊臣秀吉の方が良かったな〉

浅井青年曰く。世間では〝猿〟と云われて等しい秀吉だが、このシリーズの秀吉フィギュアは、五本の指に入るほどのイケメンだそうだ。