「どうやってその写真を手に入れるの?」
〈さぁ? それは生者が考えることじゃない?〉

何て無責任な!
と、憤る――が、経験上、こうなるのは目に見えていた。

なぜなら、霊は考えることをしないからだ。生前の心残りを訴えるだけだ。そもそも、解消する(すべ)を持っていたら私に頼らない。とっくの昔に成仏している。

〈泥棒みたいに忍び込む? 手引きならボクがするよ〉

キラキラと瞳を輝かせたシオが、ワクワクとした調子で提案する。
だが、シオは変な霊だ。例外なのか時々こんな風に〝考える犬〟になる。

「却下。この歳で前科者になりたくない」
〈捕まること前提? 案外、気が弱いんだ〉

ちょっと小バカにしたような青年の、ふーんの鼻声にイラッとする。

〈ミライは見た目クールで怖いものなしに見えるけど、本当は物凄い怖がり。だから、本心ではボクたちのことを避けたいんだよ〉

分かっているなら憑き纏うなと言いたい。

〈うわぁ、それ受けるぅ。怖がりなのに視えるって、罰ゲームじゃん〉
〈それ言えてる。不可抗力だけど、彼女、ボクの命を奪った人なんだよね〉
〈えっ、犬殺し? 大罪じゃん? 罰も当然かぁ〉

青年とシオは本人を前にして言いたい放題だ。

「いい加減にしないと!」

人からよく『摂氏零度の死線』と言われる目つきで一人と一匹を睨み付ける。