そう言って私に軽くウインクする。どうやら、天地さんを落ち着かせるには甘い物ということらしい。
そう言えば……天地さんが甘党だったことを思い出す。流石、因幡さん。『蒼穹専用の猛獣使いなの、あたし』と言うだけある。
大人しく食べ始めた天地さんを見遣り、「それで、話の続きは……?」と訊ねる。
「あっ、そうね、中途半端だったわね」
カップに口づけようとした因幡さんの手が止まる。だが、そう言いながらも続きを話すのを躊躇っているように見えた。
そんな因幡さんを横目に天地さんは一気にお茶を飲み干すと、ガチャンと音を立てカップをソーサーに戻した。そして、うーん、と唸りながら頭をゴシゴシ掻き始めた。その拍子に例の脱毛部分が顔を覗かせる。
実を言うと、今回の件で天地さんにも話していないことがある。それは、脱毛の原因でもある天地さんとトーコさんのことだ。
「おい、何をボーッとしている」
「あっ、何でもありません」
誤魔化そうと慌ててカップに口を付け、一口お茶を飲み、えっ、と因幡さんを見る。
「これ美味しい!」
「でしょう! ストレートもいいけど、ミライちゃんなら蜂蜜とミルクを入れた方がお好みだと思うわ」
「あっ、じゃあ、早速やってみます」
「パウンドケーキも食べてみて」
現状を忘れ、キャッキャッと女子トークを繰り広げていると、「おい!」とそれを中断させる冷たい声が聞こえた。
おもむろにそちらに目を向けヒッと身を縮める。刺々しい眼がこちらを向いていたのだ。
そう言えば……天地さんが甘党だったことを思い出す。流石、因幡さん。『蒼穹専用の猛獣使いなの、あたし』と言うだけある。
大人しく食べ始めた天地さんを見遣り、「それで、話の続きは……?」と訊ねる。
「あっ、そうね、中途半端だったわね」
カップに口づけようとした因幡さんの手が止まる。だが、そう言いながらも続きを話すのを躊躇っているように見えた。
そんな因幡さんを横目に天地さんは一気にお茶を飲み干すと、ガチャンと音を立てカップをソーサーに戻した。そして、うーん、と唸りながら頭をゴシゴシ掻き始めた。その拍子に例の脱毛部分が顔を覗かせる。
実を言うと、今回の件で天地さんにも話していないことがある。それは、脱毛の原因でもある天地さんとトーコさんのことだ。
「おい、何をボーッとしている」
「あっ、何でもありません」
誤魔化そうと慌ててカップに口を付け、一口お茶を飲み、えっ、と因幡さんを見る。
「これ美味しい!」
「でしょう! ストレートもいいけど、ミライちゃんなら蜂蜜とミルクを入れた方がお好みだと思うわ」
「あっ、じゃあ、早速やってみます」
「パウンドケーキも食べてみて」
現状を忘れ、キャッキャッと女子トークを繰り広げていると、「おい!」とそれを中断させる冷たい声が聞こえた。
おもむろにそちらに目を向けヒッと身を縮める。刺々しい眼がこちらを向いていたのだ。