そして、現在。
施術で回復した目は、十七歳になった今も拒絶反応もなく健在だ。

事故から幾度か入退院を繰り返し、まともに行けていなかった学校も問題なし。
事情が事情ということもあったが、祖父のたっての願いで、祖母の母校(幼児舎から大学までエスカレーター式の私立)に通っていただけあり、学校から(つか)わされという講師の助力もあり、私は無事本来の学年に戻れた。

しかし、復活には何らかの奇跡――いや、不幸が付きものなのだろうか?

視力を取り戻したと喜んだのも束の間、余計なモノまで視えるようになってしまった。

それが、これ(=霊)だ。


「しつこい! 付き纏わないで、って言っているでしょう」

今日も今日とて昼間だというのに……私の隣と足元には霊がいる。

〈そんなこと言わずに助けてくれよ。母ちゃんがアレを見たら絶対にショックを受ける。卒倒する。死んじゃうかも……。そんなことになったら……俺……俺……〉

泣きそうになりながらも必死に訴えてくる青年は、全身が血に汚れ、見るも無惨な姿だった。

――全く、勘弁してよ。

学校から外場家まで徒歩約十分。このままずっと話しかけてくるつもりだろうか?

青年を無視して私は足を早める。