『それを効果的に利用しているのがイルカやコウモリだ。これらの動物は、人間の耳では聞き取れない超音波をエコーロケーションすることで不都合の無い生活を送っている』

イルカやコウモリと聞き、何となく分かった。だが、それが霊とどんな繋がりがあるのだろうと思った。

それを正直に口にすると、彼は『霊が視えるのは何故か?』について、システムめいたことを教えてくれた。

『当たり前だが、ラジオでもテレビでもチャンネルが違うと番組が違うように、コウモリやイルカが使用する超音波もチャンネルが違うと受信できない』

要するに、種が違うと使用する超音波の領域も違うということらしい。

『同じように、霊たちにも各々独自の超霊波(ちょうれいは)というものを持っている』

悪霊には悪霊の、生き霊には生き霊の超霊波が有るのだという。

『それを送受信することで我々は霊と交信ができているのだが、霊能力者の力量如何(いかん)でチャンネル数や受信の仕方に違いが出る』

霊の姿だけ視える、声だけ聞こえる、気配だけ感じる、などといったような違いみたいだ。

『お前の目が全開眼していないというのは、力量不足でワンチャンネルしか視えていないということだ』


天地さんはそんなことを言っていた。
ということは、シオと目の前にいる金之井嬢の違いは超霊波。だからシオに金之井嬢が視えないのだ。しかし、私には視える。