「疲労が溜まっているのでしょう」
カンさんはそう言うと、サイドテーブルに手を伸ばした。
「これを飲んでもう少しお休みなさい」
そして、琥珀色の液体が入った透明なグラスを手にする。
「アイスティーです」
そう言われたが、飲みたくない、と口を一文字に結ぶ。
だが、彼はそれを私の唇に押し当てた。
「飲んで下さい」
耳元で囁かれた途端、口元が緩み、液体が口内に流れ込んできた。
それは確かにアイスティーだった。だが、ゴクリと一口飲み込んだ途端、猛烈な吐き気を感じて嘔吐く。
「おやおや大丈夫ですか? また吐くといけないので、もう横になりましょう」
そう言ってカンさんは私をベッドに寝かすと掌で瞼を覆った。途端に意識が遠退いていく。
「でも……皆が……心配……」
「大丈夫です。ちゃんと知らせておきますから」
薄れていく意識の中で、彼が右の目尻の際にある黒子を撫でたような気がした。そして――。
「星形の黒子――見ぃ―つけた」
そんな言葉を聞いたような気がした。
*
〈ミライ……ミライ、起きて〉
〈お姉ちゃん……〉
「誰? 眠いの……寝かせて……」
「おい、戯けたことを言っていないで早く起きろ!」
肩を掴まれ激しく揺すぶられていると思ったが、瞼が重くて上げられない。
「くそっ」と舌打ちしているのは――天地さん?
フワリと身体が浮いたと思ったら、お腹の辺りを何かが圧迫する。
〈ねぇ、こういうときって普通、お姫様抱っこじゃない? 俵担ぎって……〉
カンさんはそう言うと、サイドテーブルに手を伸ばした。
「これを飲んでもう少しお休みなさい」
そして、琥珀色の液体が入った透明なグラスを手にする。
「アイスティーです」
そう言われたが、飲みたくない、と口を一文字に結ぶ。
だが、彼はそれを私の唇に押し当てた。
「飲んで下さい」
耳元で囁かれた途端、口元が緩み、液体が口内に流れ込んできた。
それは確かにアイスティーだった。だが、ゴクリと一口飲み込んだ途端、猛烈な吐き気を感じて嘔吐く。
「おやおや大丈夫ですか? また吐くといけないので、もう横になりましょう」
そう言ってカンさんは私をベッドに寝かすと掌で瞼を覆った。途端に意識が遠退いていく。
「でも……皆が……心配……」
「大丈夫です。ちゃんと知らせておきますから」
薄れていく意識の中で、彼が右の目尻の際にある黒子を撫でたような気がした。そして――。
「星形の黒子――見ぃ―つけた」
そんな言葉を聞いたような気がした。
*
〈ミライ……ミライ、起きて〉
〈お姉ちゃん……〉
「誰? 眠いの……寝かせて……」
「おい、戯けたことを言っていないで早く起きろ!」
肩を掴まれ激しく揺すぶられていると思ったが、瞼が重くて上げられない。
「くそっ」と舌打ちしているのは――天地さん?
フワリと身体が浮いたと思ったら、お腹の辺りを何かが圧迫する。
〈ねぇ、こういうときって普通、お姫様抱っこじゃない? 俵担ぎって……〉