わたしはああいう人たちが大嫌いだ。公共の場所を我が物顔で占領して、他人のことなんてお構いなしで、ただ目立ちたいだけの迷惑な集団。
ケンカを売りたいわけではまったくないのに、あんな言い方をされると、つい言い返してしまう。なにを言っても意味がないことくらい、充分わかっているのに。
わたしが通う一ノ宮高校(通称・一高)は、県内屈指の進学校として名が通っていて、校則が厳しいことでも有名だ。規定通りの制服着用、遊び目的での寄り道禁止など、いわゆるブラック校則すれすれ(というよりもはやアウト)ないまどき珍しいくらい規律の厳しい校風。
厳しいけれど、基本的にはみんなルールに従って、真面目で堅実な日々を送っている。
その平穏な日常をたびたび脅かしてくるのが、うちの学校の隣にある三崎高校(通称・三高)だ。
こっちはうちとはなにもかも正反対で、服装は自由、髪色も自由、登校手段も自由。なんでもアリな自由な校風、と言えば少しは聞こえはいいけれど、はっきり言って、ただのヤンキーの溜まり場だと思う。
どんな大人の事情があるのか知らないけれど、こんな真逆の方向性を貫く学校同士を隣に並べるなんてどうかしている。いろいろ問題があるとは思わなかったんだろうか。
わたしにはあの人たちの考えていることはきっと一生理解できないし、彼らだってわたしたちみたいな勉強ばかりしている人間をバカにしているはずだ。
わかりあえるはずがない。
理解できないなら、関わらないのがいちばんだ。