初めて会ったとき、きみはわたしに言った。
『勉強って、そんなに大事?』
『それでいいの?』
なんで初めて会ったひとに、そんなことを言われなきゃいけないんだって思った。
でも、初めてじゃなかったんだ。
きみは昔のわたしを知っていたんだ。
そっかーー
やっと、ずっとわからなかったことが、腑に落ちた気がした。
きみが、わたしといた理由。思えば最初から、ずっと、気づいているみたいだった。わたしの変化に。
ずっと、笑っていなかった。笑えなかった。もう子どもじゃない。楽しいことも嬉しいことも、わたしはずっと、忘れてしまっていた。
「おれには、愛音が苦しんでいるように見えた。助けを求めているように見えた」
きみに会うまで知らなかった。助けを求めていいんだって。
ひとりじゃないと思えることが、こんなに心強いんだって。
きみに会って、一緒にいるうちに、思い出したんだ。
笑うこと。楽しいこと。嬉しいこと。
きみが思い出させてくれたんだ。