「でも、おれと一緒にいたら、きっと、これからもっと、大変な思いするよ。音が聴こえないだけじゃない。いろんな感覚がおかしくなって、また倒れたりするかもしれない。じぶんでも、わからないんだ。いつ、なにがどうなるか。いつ、完全にこの耳が機能しなくなるか。いつか、完全に聴こえなくなって、話すこともできなくなる。そしたらーー」

「知ってるよ」

わたしは言った。


「それでも、広瀬くんがどんなことになっても、わたしは、そばにいるから」


たくさん悩んで、いろんな人と話をして、きみのことやじぶんのことを考えて、考えて、やっとたどり着いた答え。

難しいことなんて、考えなくてもよかった。大事なのは、じぶんの気持ち。じぶんがどうしたいか。後悔しない選択をしたいから。

だから、

“きみのそばにいる”

わたしは、そう決めたんだ。