わたしは息を切らしながら、目の前に立つその人を見た。帽子をかぶっていない、露わになった鮮やかなオレンジ色の髪が、冷たい風に揺れている。 ーー見つけた。 ここにいた。 少し前までトンネルのように生い茂っていたこの道。いまは葉が散って、白い空がよく見える。 きみが落ち着くと言った場所。 きみの背中に、わたしは呼びかける。 「広瀬くん」 ーーねえ。 こっちを向いて、広瀬くん。