「最初はテストで負けて、悔しくて、ライバル視してた。でも気づいたら勉強以外でも意識するようになって、好きになってた」

「…………」

目から鱗とはこのことか。

石田くんには、睨まれている記憶しかなかった。美人は苦手だから来海よりわたしのほうが話しかけやすいとか言っていたし。

まさか、そんなはずが……。

そういえば、来海がそんなようなことも言っていた気がするけれど、あり得ないと思って全然気にしていなかった。

「えっと、ごめ」

「お願いだから2秒で断ろうとしないでくれ」

「…………」

「困らせるつもりはない。だから、返事もいらない。倉橋さんの気持ちは、わかってるから。でも、どうしても言いたかったんだ」

「石田くん……」