そんなことを考えている間にも、私は大学を無事卒業して、社会人になった。

 食品関係は、当然だが、商品に賞味期限や消費期限があり、廃棄ロスも発生する。商品によっては期限が短いもののあり、客へのサービスを考えると仕方のないことかもしれないが、総じて会社の休みも少ない。

 彼と相談を重ね、工業系の会社に就職した。会社の規模もこちらの方が大きく、結婚、出産となった場合にも融通がききそうな気がしたからだ。

 入社式を無事に終えたものの、オチオチしてはいられない。彼の時と同様、最初の3ヶ月ほどはセミナーハウスのようなところで朝から晩まで缶詰め状態にされた。

 お客様への言葉遣いやお茶の出し方。名刺の渡し方。社会人なら当たり前に身につけていて当然と言われる内容が、実はほとんど身についていないことを自覚させられ落ち込んだりもした。

 ひとしきり自信を喪失させられた後は、グループに分かれてのディスカッションに入る。課題を出され、それに対しての解決方法をみんなで模索していくのだ。

 リーダーシップを取り、場をまとめるもの。長いものに巻かれろの精神なのか、リーダーシップを取る人間のサポートにいち早く回る人間。要所要所で脱線しかけた話の軌道修正をする縁の下の力持ち的存在。話がまとまりかけたところで、急に口を開いたかと思うと、会心の一撃と言わんばかりに、根本的な欠陥を指摘し、木っ端微塵に今までの議論を破壊し、無に帰する者。