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私が倒れるようになってから、アレスは私の側から頑なに離れようとしない。

少々過保護すぎると思うんだけど……。

「アレス……なんだかお母さんみたい」

「仕方ないだろ? だってお前少し目を離しただけでも、直ぐに魔法使ってるんだから」

「だからそれは――!」

「――『強くなりたい』から、だろ?」

「……っ」


アレスに図星を指された私は言葉を詰まらせた。

そして目を右に逸らす。

そんな私をアレスは見下ろしながら、直ぐ近くにあった椅子をベッドの近くまで引いて来るとドカット座った。

「まだ気にしてるのか?」

「……だって」

あの戦いで私はみんなを傷つけてしまった。

その中で特にカレンの事を一番酷く傷つけてしまった。

前にお見舞いに来てくれた時、『気にしないで欲しい』とは言ってくれたけど、やっぱりそういうわけには行かないと思った。

「私は……怖いんだよ」

体を震わせながら、私は自分の体を強く抱きしめた。

「もっと強くならなくちゃいけないの! あんな力なんかに飲み込まれないように! ……じゃないと、みんなを守れない! また傷つけちゃうんだよ!」

もうあんな思いはしたくない! もう二度と誰も傷つけたくない!!