​相変わらずロキに対しては辛辣だな……。

​俺は横で真っ白になっているロキを放っておき、カレンの後を追ってソフィアのそばまで歩いていく。

​「それじゃあ、依頼について今から話す」

​胸ポケットから手紙を取り出し、二人に見せるように軽く掲げた。

​「仕事の依頼は、人探しだ」

​「人探し?」

​アレスは手紙に書かれた文章を私たちに見せてくれた。

​「俺も詳しくは知らない。ただ、『六月の岬で詳しく話す』とだけ書かれていた」

​アレスのその言葉に、カレンは眉をひそめる。

​「たったそれだけの内容で、行く気なの?」

​「もちろん」

​アレスは迷いなく、真っ直ぐにカレンを見つめて言った。

その姿に、私とカレンは互いに目を丸くした。だが、すぐに「アレスらしい」と思い、顔を見合わせて笑う。

​「そういうことなら、しっかり手伝わせてもらうわ。それで、どうやって六月の岬まで行くの?」

​「六月の岬に行くには、真夜中の森を抜ける必要がある」

​アレスの足元にちょこんと座っていたムニンが、大きくジャンプしてアレスの右肩に飛び乗った。

​「だからまず、汽車でクロッカスまで行って、そこからは真夜中の森まで徒歩だ」

​「なんだ、歩きなのかよ……」

​ムニンが丁寧に説明してくれたのに、さっきまで魂が抜けていたロキが復活したのか、髪をわしゃわしゃと掻きながら近づいてきた。

その姿に、ムニンは目を細めて言い放つ。

​「嫌なら来なくていいぞ」

​その一言で、私たちはロキを置いて、さっさと駅に向かって歩き出した。

​「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」