☆ ☆ ☆
ずっとあなたのすぐ隣にいたのに……気づいてほしかった。
私のために全てを懸けて頑張っているあなたが、これ以上その魂を削り、深く傷ついていくのを見るのはもう耐え難い苦痛だった。
「ブラッド……」
何度も、何度も、魂の限りを尽くして、あなたの名前を叫んだ。
あなたが苦しむたびに、あなたの心が後悔と憎悪に苛まれるたびに、私はその名を呼び続けた。けれど私の声は、あなたの閉ざされた耳には木霊一つとして届かなかった。
「きっと、今度こそは……」
そう、淡い希望を抱いて意識を集中させても、結果は同じ。氷の向こう側のあなたは、私の存在さえ知らないかのように、ただひたすらに、偽りの道を突き進んでいく。
「お願い……ブラッド、もう、私のために、そんな恐ろしいことをしないで!」
本当のあなたは、そんなことをする人じゃない。
知っている。誰よりも、私が知っている。
本当のあなたは誰よりも優しくて、誰よりも強く、困っている人のために、迷うことなくその力を振るえる人――
だからこそ私のことなんて忘れて、どこか遠い場所で幸せになって欲しかった。普通の生活を送って、あなたの人生を生きて欲しかった。
でも、彼は……それを拒んだ。
彼はもう一度私に会うためだけに、自身の全てを人生の軌道そのものを懸けて、闇の中を歩き続けている。
「ブラッド……」
愛しい、あまりにも不器用で、愛おしい人の名前を、凍てつく吐息の中でそっと呟く。
そして、私は諦めきれない想いの力で、重く閉じていた瞼を、震えながら薄っすらと開いた。
目の前には分厚く、そして透明な氷の壁。私の体は、まるで巨大な琥珀に閉じ込められた虫のように、この氷塊の中に囚われている。内側から壊そうにも、この氷は人間の力でどうにかできる代物ではない。
そもそも、私は体を微動だに動かすことすらもう何年もできていないのだから。
「ま、た……」
これで意識を取り戻すのは、一体何回目になるのだろうか?
あの全てが終わった絶望的な戦いから、どれだけの時が過ぎたのか時間の感覚も失われて久しい。
いや、そんなことを考える以前に、私はあの時、確かに死んだはずだ。
あの時、星の涙ごと体を貫かれて、私の意識は永遠の闇へと手放された。
それから……この氷の中に囚われている。
そんな痛切な事実とブラッドへの焦燥を考えていた時、逃れられない睡魔が再び冷たい津波のように私の意識を襲ってきた。
「ま、待って! まだ駄目! まだ眠るわけにはいかないの!」
ここでまた眠ってしまったら、今度はいつ再び意識を取り戻せるのか分からない。
ブラッドに、私がまだ「生きている」って、あなたのすぐそばにいるんだって、伝えることが遅くなってしまう!
「お願い……待って! まだ、彼に……伝えなきゃいけないことが!」
しかし抗いがたい氷の力に、私の微かな抵抗は虚しく打ち砕かれる。意識は砂のようにサラサラと指の間から零れ落ち、途切れてしまった。
最後に残ったのは、か細い切なる祈り。
「……願い……ブラッド……」
私のために、どうかもう、あなた自身を傷つけないで。
ずっとあなたのすぐ隣にいたのに……気づいてほしかった。
私のために全てを懸けて頑張っているあなたが、これ以上その魂を削り、深く傷ついていくのを見るのはもう耐え難い苦痛だった。
「ブラッド……」
何度も、何度も、魂の限りを尽くして、あなたの名前を叫んだ。
あなたが苦しむたびに、あなたの心が後悔と憎悪に苛まれるたびに、私はその名を呼び続けた。けれど私の声は、あなたの閉ざされた耳には木霊一つとして届かなかった。
「きっと、今度こそは……」
そう、淡い希望を抱いて意識を集中させても、結果は同じ。氷の向こう側のあなたは、私の存在さえ知らないかのように、ただひたすらに、偽りの道を突き進んでいく。
「お願い……ブラッド、もう、私のために、そんな恐ろしいことをしないで!」
本当のあなたは、そんなことをする人じゃない。
知っている。誰よりも、私が知っている。
本当のあなたは誰よりも優しくて、誰よりも強く、困っている人のために、迷うことなくその力を振るえる人――
だからこそ私のことなんて忘れて、どこか遠い場所で幸せになって欲しかった。普通の生活を送って、あなたの人生を生きて欲しかった。
でも、彼は……それを拒んだ。
彼はもう一度私に会うためだけに、自身の全てを人生の軌道そのものを懸けて、闇の中を歩き続けている。
「ブラッド……」
愛しい、あまりにも不器用で、愛おしい人の名前を、凍てつく吐息の中でそっと呟く。
そして、私は諦めきれない想いの力で、重く閉じていた瞼を、震えながら薄っすらと開いた。
目の前には分厚く、そして透明な氷の壁。私の体は、まるで巨大な琥珀に閉じ込められた虫のように、この氷塊の中に囚われている。内側から壊そうにも、この氷は人間の力でどうにかできる代物ではない。
そもそも、私は体を微動だに動かすことすらもう何年もできていないのだから。
「ま、た……」
これで意識を取り戻すのは、一体何回目になるのだろうか?
あの全てが終わった絶望的な戦いから、どれだけの時が過ぎたのか時間の感覚も失われて久しい。
いや、そんなことを考える以前に、私はあの時、確かに死んだはずだ。
あの時、星の涙ごと体を貫かれて、私の意識は永遠の闇へと手放された。
それから……この氷の中に囚われている。
そんな痛切な事実とブラッドへの焦燥を考えていた時、逃れられない睡魔が再び冷たい津波のように私の意識を襲ってきた。
「ま、待って! まだ駄目! まだ眠るわけにはいかないの!」
ここでまた眠ってしまったら、今度はいつ再び意識を取り戻せるのか分からない。
ブラッドに、私がまだ「生きている」って、あなたのすぐそばにいるんだって、伝えることが遅くなってしまう!
「お願い……待って! まだ、彼に……伝えなきゃいけないことが!」
しかし抗いがたい氷の力に、私の微かな抵抗は虚しく打ち砕かれる。意識は砂のようにサラサラと指の間から零れ落ち、途切れてしまった。
最後に残ったのは、か細い切なる祈り。
「……願い……ブラッド……」
私のために、どうかもう、あなた自身を傷つけないで。


