ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「こんなみっともない、情けない俺を、あいつらに見られるわけには行かないんだ!」

自己嫌悪と後悔で体が震えるが、それ以上に他者に弱みを見せることへの拒絶感が俺を突き動かした。

「頑張れよ……俺! こんな、吐いて泣いてる場合じゃないだろ! 俺には時間がないんだ!」

そう、荒れ狂う内面の嵐を無理やり鎮めようと、自分に強く言い聞かせる。全身の筋肉を震わせながら、地面にめり込んでいた手を引き抜き、一歩ずつ力を込めて立ち上がった。

「もう少しなんだ……あと少しで、お前に会える」

泥と涙と汗で汚れた頬を、手の甲で乱暴に拭い去る。その顔に浮かぶのは癒えない傷跡と、光を失った左眼の冷たさだけだった。

「お前ともう一度会えるんだったら、俺は……何だってすると、あの時に決めたんだろうが」

その決意を胸に刻み込む。

そうだ、アレスたちはそのためのただの駒に過ぎない。俺の個人的な願いのために利用し、働いてもらうだけの存在。それ以上の意味は彼らにはない。

「エアの願い? 知るか! そんなものが、俺の目的の邪魔になるなら粉々にしてやる!」

右の拳に血が滲むほど力を込め、俺は憎しみを込めた眼差しで青空を睨み上げた。

「俺は、この世界のトトなんかじゃない。俺は、『オフィーリアのトト』だ!」

そう、喉が裂けよとばかりに力強く叫ぶ。その声は森の静寂を切り裂き、俺の冷徹な覚悟を周囲に響かせた。

絶対にお前の願いなんて叶えない。俺が叶えるのは、俺だけのただ一つの願いだ。

オフィーリアが心から笑って、幸せに暮らせる世界を作るために、俺はあの時、全てを捨てる覚悟を決めたのだ。

たとえ、その隣を歩くのが俺ではなくなったとしても、彼女が笑顔で暮らしていけるなら、それで良い。その世界を作るためなら、俺は悪にでも、人殺しにでもなってやる――

俺の瞳にはかつての温かさではなく、達成すべき目的だけを映す冷たい光が宿っていた。