ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「アレス。お前はエクレールの力をもっと長時間纏えるようになれ。そうでなければ、守護者として今後を担っていくのは難しいぞ」

「は、はい……」

「でもアル。わたくしから見ても、彼はちゃんとわたくしの力を纏えると思うのですよ? きっと彼ならブラッドを超えることだって可能なのです!」

エクレールさんが自信ありげに言う。

「それはどうだろうな? あいつは俺の力を纏っても、平気な顔で余裕で一年は過ごしたぞ」

「なっ?!」

「あらまあ!」

魔剣の力を一年も纏って平然としていたなんて……、ブラッドさんは本当に規格外の存在なのだと俺は改めて戦慄した。

いや、それよりも彼の魔力コントロールの卓越さに驚く。

あんな若さで多くの知識を持ち、何より魔剣の力を完璧に使いこなしていた。カレンが彼を尊敬するのも無理はないと深く納得する。

「話は以上だ。あとの細かいことは、帰って来たブラッド本人に詳しく聞くんだな」

「ねえ、一つ良いかしら?」

「ん?」

アルさんはテトに目をやった。

机の上に乗っていたテトは、そのままアルさんの側まで歩いて行くと尋ねた。

「オフィーリアという人がエアと守護者たちとの約束を果たすために、守護者と魔剣の行方を追っていたこと、そして守護者とあなた方についての話はだいたい理解できた。でも、一つだけ不思議なのよ」

テトの言葉に、アルさんは目を細める。

「どうしてブラッドは、わざわざこんな面倒くさいことを引き受けたのかしら? 誰だってこんな面倒ごとは、やりたがらないものよ。それに、彼はあなた達と関わるまで、普通の生活を送っていたように思えた。こんないつ終わるかも分からない旅をしようだなんて、彼は何を思ってそんなことをしようと思ったのかしら?」

その言葉に、アルの目はさらに鋭く釣り上がった。

流石にまずいと思った俺とソフィアは、アルさんからテトを引き離そうとしたその時だった。

「あいつにとって、オフィーリアは大切な存在なんだ」

「えっ?」

アルさんはそう言って、窓の外へと視線を動かした。

「なぜあいつが普通の生活を捨ててまで、こんな終わりの見えない旅をしているのか、お前の言う通りどうしてこんな面倒くさいことをしているのか。その理由なんて、簡単なことだ」

窓の外に目を向けていたアルは、ゆっくりと俺たちに目を戻すと言う。