ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「このように魔剣は、それぞれ特別な力をエアから与えられ、その力を使いこなせる主を待っている。そして魔剣の主となった者を、俺たちは『守護者』と呼んでいる」

「……守護者」  

ブラッドさんの言葉を聞きながら、俺は内心で反芻した。じゃあ俺もエクレールさんに選ばれたから『守護者』って言う立ち位置になるのか。その事実を飲み込むには、まだ時間がかかりそうだった。

守護者。世界や何かを守る、響きはかっこいいが、具体的に何を求められる存在なのか、全く見当がつかない。

「あの、すみません」

その時、場違いなほど控えめな声が響いた。

「ん?」  

俺たちがブラッドさんに向き直る中、ロキが突然、恐る恐る右手を上げている。

そしてこの場で魔剣を持たないロキは、少し顔を伏せ気味にブラッドさんに確認を取るように尋ねた。

「今更なんですけど、その話って俺が聞いても良いものなんですか? 俺はカレンとアレスみたいに魔剣を持っているわけでもないし、守護者なんていう大層な存在でもないから……邪魔にならないかと」

ロキの消極的な態度と、自分を卑下するような物言いに、俺たちは何も言えなかった。しかしブラッドさんは、ロキを責めるどころか、温厚な笑みを見せた。

「ああ、別に構わないよ。君は今、彼らと共にここにいる。それに君だってもしかしたら、魔剣に選ばれる可能性だってあるかもしれないんだ。だから、話を聞いてもらった方が、後々説明する手間と時間を省けるだろう」

「そ、そうですか……」  

ロキは胸を撫で下ろし、心底安心したように軽く息を吐く。彼は改めて隅の方で、静かに話を聞く体制に戻った。

ブラッドさんはそれを見届けると、表情を引き締め再び口を開く。

「さて、『守護者』の話に戻るが。守護者と言うのはアルやレーツェルたちが、まだ魔剣となる生前の頃にエアを守る存在として呼ばれていた名前なんだ。だから俺はその役割を引き継ぎ、今、魔剣を持った君たちを『守護者』として呼ぶようにしている」

「あ、あの……生前の頃って、どういう意味ですか?」  

ソフィアがその一言に引っかかり、戸惑いを隠せない様子で質問した。ソフィアの顔には「まさか」という文字が浮かんでいる。

ブラッドさんはソフィアの質問に、俺たち四人全員の目をじっくりと見回した。その視線は、彼がこれから語る内容がいかに重要で、重い真実であるかを物語っていた。

俺たち四人は、その視線の意味を察し、緊張の面持ちのままためらうことなく頷いた。どんな真実であれ、受け入れる覚悟を示したのだ。

それを確認したブラッドさんは、決定的な一言を告げた。

「アムールたちは魔剣の姿になる前は、君たちと同じ一人の人間としてこの世に存在していたんだ」

「っ!」

俺は全身に電撃のような衝撃が走るのを感じた。一人の人間としてこの世に存在していたって……、それじゃあエクレールさんたちも、元は血の通った生きていた人たちだった?!