ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

俺の推測を裏付けるように、ブラッドさんは確信に満ちた口調で、決定的な事実を告げた。

「カレンはサファイアと同じ、王家の血を引いていた。だからカレンはサファイアの主になることが出来たんだ」  

ブラッドさんの言葉に、隣に立つカレンは目を瞬かせた。その表情には驚きが滲んでいる。まさかカレン本人も、自らの出自を知らなかったのだろうか?

「私がサファイアと同じ……王家の者ですか?」

カレンの問いかけに、サファイアは静かに頷き優しく応えた。

「そうだ、カレン。だからお前は私にとっては、ようやく出来た主なんだ」

「サファイア……」  

じゃあサファイアにとってカレンは、唯一無二の存在ってことになるのか。

だが新たな疑問が湧き上がる。カレンですら知らないはずの出自を、ブラッドさんはどうして知っていたのだろう?

(カレンでも知らない事をブラッドさんは知っていた。もしかしてサファイアの主としてカレンを選んだもの、彼自身なのだろうか?)

俺の思考を察したわけではないだろうが、ブラッドさんは間髪入れずに次の魔剣について語り始めた。

「そしてアムールの力は、愛した人を思えば思うほど魔力を増していく能力だ」

「愛した人を思えば思うほど?」  

そのブラッドさんの言葉に、カレンの肩がピクリと上がったのが見えた。

その様子に首を傾げた時、ブラッドさんは言葉を続ける。

「そんなアムールの隣に居る彼女、レーツェルは神秘の力を用いてありとあらゆる魔法を無効、または防ぐことが出来るんだ」

「あ、ありとあらゆる魔法?!」  

ロキは驚いて声を上げた。

その言葉に驚いたのは当然ロキだけじゃない。隣に居るソフィアも、俺だって驚いて目を丸くした。

ブラッドさんは、レーツェルさんへと視線を向ける。するとレーツェルさんは、穏やかな表情で口を開いた。

「と言いましても、全ての魔法を防げるわけではありませんよ。私の力を扱える人物は一握りだけです。私の力の源は『人を信じる心』ですから、信じる気持ちが強ければ強いほど、私の力は強さを増していきます。しかし逆に人を信じる心を失ってしまえば、私の力を使う事は出来ません」

ブラッドさんが、レーツェルの言葉を付け加える。

「それにレーツェルは、闇魔法も浄化することが出来るし、暴食の悪魔のような存在だって斬る事が出来る」

「っ!」

その言葉に俺の中であの時の光景が鮮明に過った。

それは、ブラッドさんがレーツェルさんを使って、容赦なくヨルンを斬り捨てた姿だった。  

(あの時ブラッドさんは、レーツェルさんの力を使って暴食の悪魔を斬り捨てたんだ)