ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

レーツェルさんに促された俺たちは、それぞれの椅子に座り、部屋の中央に立つブラッドさんへと集中した視線を送った。

テトはソフィアの膝の上に丸く収まり、ムニンは俺の右肩の上で静かに周囲を観察している。

カレンはブラッドさんから少し距離をとった位置の椅子を選んで座り、その隣にはロキが警戒を怠らず座っている。

人間の姿へと戻ったサファイアとエクレールさんは、ブラッドさんのすぐ側へと寄り添っていた。

張り詰めた沈黙の中、最初に口を開いたのはブラッドさんだった。

「それじゃあ、まず何から聞きたい?」  

その質問に、俺とソフィアは顔を見合わせた。

「ブラッドさんが知っている全てについて、俺たちは知りたいです」  

俺の決意のこもった言葉に、ブラッドさんは軽く目を見開いた後、満足そうに微笑んだ。

しかし、直ぐに表情を真剣なものへと引き締めると、直後ろに控えている魔剣の四人に目を配った。

「じゃあまず、魔剣のことから話そうか。魔剣とはエアの恩恵を受けた存在として、エアが戦争を終わらせたと同時にこの世に落とされた存在たちだ」  

ブラッドさんの言う通り、それが一般に知られる魔剣の定義だ。だが魔剣が人間になれるなんて事実は、きっと世の誰も知らないだろう。

(でもどうして、エクレールさんたちは魔剣の姿になれるんだ……?)

俺が頭の中で疑問を巡らせた、その瞬間だった。ブラッドさんは、歴史の根幹を揺るがす一言を放った。

「しかし……その言い伝えが間違いだと言ったら、お前たちはどうする?」  

その爆弾発言に、俺たちは一斉に目を見張った。

「言い伝えが間違いって、どういう意味なんだ?」

俺の問いかけに対し、ブラッドさんは皮肉めいた笑みを浮かべる。

「確かに魔剣は、エアが戦争を終わらせた後に、この世界に落とされた。その点に関しては間違っていない」

彼は一拍置くと、重々しく言葉を続けた。

「なんだけど、『エアが戦争を終わらせた』と言う話の部分が、俺が知っている話とは大分違ってな」

テトが、その核心を真っ先に突いた。

「あら、どう違うって言うのかしら? もしかして、戦争を終わらせたって言うのが、エア本人じゃないとでも言うのかしら?」