ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

☆ ☆ ☆

「来たか」

「はい、来たのですよ」  

村で賑やかな宴が行われている喧騒を背に、俺はサファイアとエクレールを呼び出して、レーツェルと一緒に守護者だけで話す場を設けた。

「久しぶりだな、サファイア」

「そうだな。あの激戦以来か」  

その言葉に、俺は隣のレーツェルと顔を見合わせ、あの過去の戦いの重みが未だに心に残っているかのように顔に影を落とす。

そんな俺たちに目を配ったエクレールは、両手を胸の前で合わせると快活な笑顔で言った。

「ではまず、情報共有と参りましょう。わたくしが眠りについている間に、いったい何が起こったのか、詳しくお話をお聞かせ下さい」

「ああ、話すよ。まず――」  

俺はエクレールに、この三百年で起こった全ての出来事を、きめ細かく説明した。

ブラッドが心から愛したこの世界のエアの存在、すなわちオフィーリアのこと。そして、彼女が守っていた星の涙が既にこの世に存在しないこと。さらに、残りの魔剣の行方についても。

「なるほどなのです。まさかクリエイトがそんな裏切りを……」

「だが、あいつはあの戦いで行方を眩ませている。ブラッドでも今は探し出すことは出来ない」  

俺は苛立たしげに表情を歪める。

「残りの魔剣の行方ですが、コスモスさんの行方はなんとなく掴めそうなんです。しかし、リヴァイさんの行方だけは未だ分からないんです」

コスモスの名前が出た途端、サファイアが両肩をピクリと上げさせると軽く目を細めた。

レーツェルの言葉に、俺は確認を取るように、唯一の手掛かりになるエクレールに問いかけた。

「エクレール。お前はリヴァイと特別な魔力の繋がりがあるはずだ。俺ならレーツェル。そして、サファイアならコスモスというようにな。目覚めた時に、リヴァイの魔力を感じ取ることは出来たか?」  

その問いかけに、彼女は静かに頭を左右に振った。

「申し訳ございません。わたくしでも、リヴァイがどこに居るのかは、分からないのです」

「……そうか」  

俺は唇を噛んだ。

あと魔剣リヴァイバルさえ見つかれば、ようやく守護者が全員揃うことができる。あと少しで、ブラッドだってオフィーリアに会えると言うのに!

その焦燥感が、俺の胸を締め付けた。

「それで、一つお尋ねしたいのですが」  

エクレールはそう言うと、ニッコリと微笑んだ。