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「…………あれ?」

目を開けると、私は何もない真っ白な空間に浮いて
いた。

「ここは、どこ……?」

あたりを見渡すと、キラキラと輝く無数の金色の光が、まるで光を放つホタルのように飛び交っている。それ以外に目ぼしいものは何もない。

なのに、どうしようもなく懐かしい気持ちになった。

とても心地よくて、温かい。なぜだろう? 私はこの世界を、どこかで知っているのだろうか?

そう思ったそのとき、一筋の金色の光が、私の目の前で止まった。

『あらあら、まあまあ! とても可愛らしいのです!』

光の中から、突然声が聞こえてきた。驚きに一歩後ずさる。

「あ、あなたは誰!?」

私の問いかけに、声の主は答えない。ただ一言だけ、静かに告げた。

『今はまだ……』

「……どういう意味?」

その言葉に、私は首を傾げた。金色の光をじっと見つめる。

『時が来れば、いずれ分かります。わたくしが一体誰なのか』

「それは一体……」

金色の光は、それ以上何も言わず、ゆっくりと私から離れていく。

「ま、待って!」

『近いうちにお会いすることになると思いますが、その時は――』

「あなたは、一体誰なの!」

金色の光が空間いっぱいに広がった、その瞬間。私は、まぶたの裏に光を感じて、目を覚ました。

「……っ」

目を開けると、見慣れた天井が視界に飛び込んできた。

「…………夢?」

どうやら、夢を見ていたらしい。

「すごく、温かい夢だったな……」

そう呟きながら、ゆっくりと体を起こす。そのとき、ある違和感に気がついた。

「あれ?」

試しにベッドから降り、その場で軽くジャンプしてみる。

「身体が……軽い?」

なぜだろう。昨日まであんなに重かった身体が、羽のように軽い。

高熱で動くことすら辛く、全身がだるかったはずなのに、今は熱もすっかり引き、自由に身体を動かすことができる。

「もう……どうしたの、ソフィア?」

ジャンプする音で目を覚ましたのだろう。眠たそうに目をこすりながら、テトが身を起こした。

「テト見て! 身体がすごく軽いの!」

「……えっ?」

テトは、信じられないものを見るかのように、私をじっと見つめてくる。

「な、何よその目……嘘じゃないわよ!」