「カレンからしたら、サファイアはとてもクールで、凛々しい女性に見えたでしょう?」
「は、はい……」
「でもそんなサファイアにも、とびっきり可愛い、隠された顔があるのですよ」
「そうなんですか?」
エクレールさんのその言葉に、部屋の端に置かれたサファイアの刀身が、警告の震えと共に一際強く青く輝いた。その光はまるで「これ以上の暴露は許さない」と無言で訴える、鋭い殺気を帯びた眼差しのようだった。
「ああ見えてサファイアは、ある殿方の隣だと本当にふにゃふにゃで可愛らしいのですよ?」
「あ、ある殿方?」
カレンは目を丸くし、ロキと俺も興味津々でエクレールさんを見つめた。
「そうなのです。その殿方と言うのが」
『もうわかった! 分かったからそれ以上は言うな!!』
氷が砕けるような鋭い叫びと共に、サファイアの刀身が空間を切り裂く勢いで激しく青白く輝いた。光が収束すると、冷たい空気の波が広がり、そこに見覚えのある女性の姿が出現した。
みんなが突然の変身劇に目を見開く中、サファイアは焦燥と憤りに駆られた表情でカレンの横を通り過ぎるや否や、猛禽類のような速さでエクレールさんの顔面に接近し、右手で素早くその口を塞いだ。
「勝手に人のことを話さないでもらえるか? エクレール」
サファイアの声は、地下深くで響くような低さで、抑えきれない怒りと羞恥が混じり合っていた。
「……ニッコリ」
しかし、エクレールさんは微動だにしない。優雅な笑みを深めたまま、サファイアの冷たい手を軽く振り払った。
エクレールさんは再び口を開き、好奇心を煽るような楽しげな調子で言葉を続けた。
「その殿方と言うのが」
「だから!」
サファイアは獣のような低い唸り声を上げた。
「コス――」
「あ〜!! もう分かったから! それ以上は言わないで下さいお姉ちゃん!」
サファイアは顔だけでなく、耳まで真っ赤に染めながら悲鳴を上げてそう叫んだ。
エクレールさんは、計画通りだとでも言うようにとても嬉しそうにニコニコと微笑みながら、サファイアの体を逃げ道がないほどきつく抱きしめた。
「もう〜そんなに可愛い意地を張らなくても良いのですよ? もっと早くにお姉ちゃんと呼んでくれれば、こうしてぎゅっとして頭を撫でてあげたのに」
エクレールさんに抱きしめられ、慈愛に満ちた仕草で頭を撫でられているサファイアは、心底うざそうに額に血管を浮かせ頬を引きつらせていた。
「この……腹黒女」
彼女は、抱きしめられているエクレールさんの肩越しに、俺たちの方を射殺さんばかりに一瞬だけ睨みつけ、そう極めて低い声でボソッと呟いた。
その言葉を聞くや否や、サファイアの体は内部から爆発するかのように、制御不能なほど急激に青白い輝きを放ち始めた。
「あっ」
エクレールさんが驚きの声を上げる間もなく光は収束する。
そして、光が消えた直後。
そこには、先ほどまでいたサファイアの姿は跡形もなく消え失せ、代わりに青い鞘に収められた一振りの魔剣が、まるで居たたまれず逃げ出したかのように、部屋の隅の壁にカタンと立てかけられていた。
その刀身からは、微かに氷のような冷気が立ち上っていた。
エクレールさんは、一瞬ぽかんと抱きしめていた腕を空中に残したまま硬直した後、すぐに満面のしかしどこか悪戯っぽい優雅な微笑みを浮かべた。
「ふふ。サファイアは、本当に繊細でシャイなのですから」
彼女は、まるで魔法を解いたかのように軽く手のひらを叩くと、何食わぬ顔で優雅に座り直した。その顔には、完全なる勝利者の余裕が満ちていた。
「は、はい……」
「でもそんなサファイアにも、とびっきり可愛い、隠された顔があるのですよ」
「そうなんですか?」
エクレールさんのその言葉に、部屋の端に置かれたサファイアの刀身が、警告の震えと共に一際強く青く輝いた。その光はまるで「これ以上の暴露は許さない」と無言で訴える、鋭い殺気を帯びた眼差しのようだった。
「ああ見えてサファイアは、ある殿方の隣だと本当にふにゃふにゃで可愛らしいのですよ?」
「あ、ある殿方?」
カレンは目を丸くし、ロキと俺も興味津々でエクレールさんを見つめた。
「そうなのです。その殿方と言うのが」
『もうわかった! 分かったからそれ以上は言うな!!』
氷が砕けるような鋭い叫びと共に、サファイアの刀身が空間を切り裂く勢いで激しく青白く輝いた。光が収束すると、冷たい空気の波が広がり、そこに見覚えのある女性の姿が出現した。
みんなが突然の変身劇に目を見開く中、サファイアは焦燥と憤りに駆られた表情でカレンの横を通り過ぎるや否や、猛禽類のような速さでエクレールさんの顔面に接近し、右手で素早くその口を塞いだ。
「勝手に人のことを話さないでもらえるか? エクレール」
サファイアの声は、地下深くで響くような低さで、抑えきれない怒りと羞恥が混じり合っていた。
「……ニッコリ」
しかし、エクレールさんは微動だにしない。優雅な笑みを深めたまま、サファイアの冷たい手を軽く振り払った。
エクレールさんは再び口を開き、好奇心を煽るような楽しげな調子で言葉を続けた。
「その殿方と言うのが」
「だから!」
サファイアは獣のような低い唸り声を上げた。
「コス――」
「あ〜!! もう分かったから! それ以上は言わないで下さいお姉ちゃん!」
サファイアは顔だけでなく、耳まで真っ赤に染めながら悲鳴を上げてそう叫んだ。
エクレールさんは、計画通りだとでも言うようにとても嬉しそうにニコニコと微笑みながら、サファイアの体を逃げ道がないほどきつく抱きしめた。
「もう〜そんなに可愛い意地を張らなくても良いのですよ? もっと早くにお姉ちゃんと呼んでくれれば、こうしてぎゅっとして頭を撫でてあげたのに」
エクレールさんに抱きしめられ、慈愛に満ちた仕草で頭を撫でられているサファイアは、心底うざそうに額に血管を浮かせ頬を引きつらせていた。
「この……腹黒女」
彼女は、抱きしめられているエクレールさんの肩越しに、俺たちの方を射殺さんばかりに一瞬だけ睨みつけ、そう極めて低い声でボソッと呟いた。
その言葉を聞くや否や、サファイアの体は内部から爆発するかのように、制御不能なほど急激に青白い輝きを放ち始めた。
「あっ」
エクレールさんが驚きの声を上げる間もなく光は収束する。
そして、光が消えた直後。
そこには、先ほどまでいたサファイアの姿は跡形もなく消え失せ、代わりに青い鞘に収められた一振りの魔剣が、まるで居たたまれず逃げ出したかのように、部屋の隅の壁にカタンと立てかけられていた。
その刀身からは、微かに氷のような冷気が立ち上っていた。
エクレールさんは、一瞬ぽかんと抱きしめていた腕を空中に残したまま硬直した後、すぐに満面のしかしどこか悪戯っぽい優雅な微笑みを浮かべた。
「ふふ。サファイアは、本当に繊細でシャイなのですから」
彼女は、まるで魔法を解いたかのように軽く手のひらを叩くと、何食わぬ顔で優雅に座り直した。その顔には、完全なる勝利者の余裕が満ちていた。


