「そんな……あり得ない!この子たちを斬ることなんてできないはずだ!」
ヨルンが驚愕に声を震わせた。その表情は、今までの余裕が嘘のように歪んでいた。
その言葉に、金髪の青年は軽く笑うと、静かに言い放った。
「残念だけど、お前の野望もここまでだ」
彼の周りに七色のオーブが舞い、それぞれのオーブが淡い光を放つ。金髪の青年は持っている剣の切先をヨルンへと向けた。
「お前は……お前は一体、何者なんだ!」
ヨルンの問いかけに、金髪の青年は淡々と答える。
「俺? う〜ん……俺は」
そのとき、彼の周りに突如として強い風が巻き起こった。
その風は右目に巻かれた包帯を軽々と持ち上げ、彼から遠ざけていく。ヨルンは彼の右目を見て、大きく目を見開いた。
その目には、驚きと恐怖の色が混じっていた。
「俺の名前はブラッド。『エアの代行者』だ」
エアの代行者という言葉に、その場にいた俺たち全員が目を見張った。
「エアの代行者だと?」
「そ。エアの代わりに目的を果たすために行動し、この世界を平和にする義務があるんだ。まあ『守護者』と言っても良いけど、俺は他の守護者たちと違って、ちょっと背負っている物の重さが違うんだ」
そんな話を淡々と語るブラッドさんは、俺たちへ目を向けた。そのとき、彼の右目が左目の緑色と違って、まるで燃えるような真っ赤に染まっていることに気づいた。
「確か、君がアレスだったかな?」
「えっ……あ、はい」
すると、ブラッドさんは腰にさしてあった一本の剣を取ると、それを俺に投げてよこした。
「それをお前にやる」
「…………は?」
突然のことに、俺はポカンとして、手の中にある剣を見下ろした。渡された剣は、まるで雪のように真っ白な鞘に収まっており、鞘には竜の紋章が精巧に彫られていた。この剣は一体……。
「良いから、早くその剣と契約をしてくれ」
「け、契約?!」
契約っていったい何の?! 俺が戸惑っていると、ブラッドは再びヨルンへと向き直った。
「後は『彼女』から話を聞いてくれ」
ブラッドはそれだけ言うと、剣を構えてヨルンへと向かって行った。俺はその背中を見つめ、剣へと視線を落とす。
「お、おい……アレス。その剣ってまさか!」
ロキの声が震えている。俺はごくりと息を飲んだ。もし投げ渡されたこの剣が魔剣だったら、なぜあの人はそれを俺に寄越したんだ?
あの人はいったい何者なんだ? エアの代行者っていったい? 疑問と混乱が渦巻く。
『あらあら、まあまあ、あなたがわたくしの主なのですね?』
「えっ?」
その言葉を聞いて目を瞬かせた時、目の前の景色が一変した。突然、俺の体は温かな金色の世界を漂っていて、側にいたはずのロキも、目の前でヨルンと戦っているブラッドさんの姿もなくなっていた。
「こ、ここは……?」
「ここは光の世界なのです」
後ろの方で声が聞こえ、そちらへ振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。
肩先まである黄金の髪は、まるで光を編み込んだかのよう。優しく細められる黄金の瞳は、穏やかな湖を思わせた。彼女の額には淡い光を放つルビーの宝石が吊るされ、顔には薄いベールを被っていた。
そしてふわりとなびくウェディングドレスに似た、薄紫のプリンセスドレス。
その姿に俺は思わず見惚れてしまった。それほどまでに、今目の前にいる女性は美しく神秘的だった。
「あの、あなたは?」
彼女は来ているドレスの裾を軽く持ち上げると言った。
「お初にお目に掛かります。わたくしの名は『エクレール・ストレリチア』。光の巫女と呼ばれておりました」
「え、エクレール・ストレリチア?…………光の巫女?!!」
彼女の名前に驚いている俺の姿を見て、エクレールはどこか面白そうに、優しく微笑んだのだった。
ヨルンが驚愕に声を震わせた。その表情は、今までの余裕が嘘のように歪んでいた。
その言葉に、金髪の青年は軽く笑うと、静かに言い放った。
「残念だけど、お前の野望もここまでだ」
彼の周りに七色のオーブが舞い、それぞれのオーブが淡い光を放つ。金髪の青年は持っている剣の切先をヨルンへと向けた。
「お前は……お前は一体、何者なんだ!」
ヨルンの問いかけに、金髪の青年は淡々と答える。
「俺? う〜ん……俺は」
そのとき、彼の周りに突如として強い風が巻き起こった。
その風は右目に巻かれた包帯を軽々と持ち上げ、彼から遠ざけていく。ヨルンは彼の右目を見て、大きく目を見開いた。
その目には、驚きと恐怖の色が混じっていた。
「俺の名前はブラッド。『エアの代行者』だ」
エアの代行者という言葉に、その場にいた俺たち全員が目を見張った。
「エアの代行者だと?」
「そ。エアの代わりに目的を果たすために行動し、この世界を平和にする義務があるんだ。まあ『守護者』と言っても良いけど、俺は他の守護者たちと違って、ちょっと背負っている物の重さが違うんだ」
そんな話を淡々と語るブラッドさんは、俺たちへ目を向けた。そのとき、彼の右目が左目の緑色と違って、まるで燃えるような真っ赤に染まっていることに気づいた。
「確か、君がアレスだったかな?」
「えっ……あ、はい」
すると、ブラッドさんは腰にさしてあった一本の剣を取ると、それを俺に投げてよこした。
「それをお前にやる」
「…………は?」
突然のことに、俺はポカンとして、手の中にある剣を見下ろした。渡された剣は、まるで雪のように真っ白な鞘に収まっており、鞘には竜の紋章が精巧に彫られていた。この剣は一体……。
「良いから、早くその剣と契約をしてくれ」
「け、契約?!」
契約っていったい何の?! 俺が戸惑っていると、ブラッドは再びヨルンへと向き直った。
「後は『彼女』から話を聞いてくれ」
ブラッドはそれだけ言うと、剣を構えてヨルンへと向かって行った。俺はその背中を見つめ、剣へと視線を落とす。
「お、おい……アレス。その剣ってまさか!」
ロキの声が震えている。俺はごくりと息を飲んだ。もし投げ渡されたこの剣が魔剣だったら、なぜあの人はそれを俺に寄越したんだ?
あの人はいったい何者なんだ? エアの代行者っていったい? 疑問と混乱が渦巻く。
『あらあら、まあまあ、あなたがわたくしの主なのですね?』
「えっ?」
その言葉を聞いて目を瞬かせた時、目の前の景色が一変した。突然、俺の体は温かな金色の世界を漂っていて、側にいたはずのロキも、目の前でヨルンと戦っているブラッドさんの姿もなくなっていた。
「こ、ここは……?」
「ここは光の世界なのです」
後ろの方で声が聞こえ、そちらへ振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。
肩先まである黄金の髪は、まるで光を編み込んだかのよう。優しく細められる黄金の瞳は、穏やかな湖を思わせた。彼女の額には淡い光を放つルビーの宝石が吊るされ、顔には薄いベールを被っていた。
そしてふわりとなびくウェディングドレスに似た、薄紫のプリンセスドレス。
その姿に俺は思わず見惚れてしまった。それほどまでに、今目の前にいる女性は美しく神秘的だった。
「あの、あなたは?」
彼女は来ているドレスの裾を軽く持ち上げると言った。
「お初にお目に掛かります。わたくしの名は『エクレール・ストレリチア』。光の巫女と呼ばれておりました」
「え、エクレール・ストレリチア?…………光の巫女?!!」
彼女の名前に驚いている俺の姿を見て、エクレールはどこか面白そうに、優しく微笑んだのだった。


