☆ ☆ ☆
声が聞こえました。ずっと温かい光の中で眠っていたわたくしの元へ、突然その声は降ってきたのです。
「あんたが光の巫女か?」
懐かしい呼び名を聞き、閉じていた黄金の瞳を開くと、彼の姿が目の前にありました。
最初は彼の姿に驚きましたが、すぐに。
「あらあら、まあまあ! ここに人が来るなんて初めてのことなのです」
久しぶりに人と話せるのが嬉しくて、わたくしは彼の存在を怪しむどころか、心から受け入れたのです。
それに、彼と一緒にいる二人を見れば、彼が悪い人ではないとすぐに判断できました。彼らが放つ温かい魔力は、わたくしを安心させてくれたのです。
「俺のことを怪しまないのか?」
「はい、怪しみませんよ? だってあなたの傍にいる二人を見れば、あなたが悪い人ではないとわかるのですから」
そう言ってわたくしは、にこやかに微笑みました。
すると彼はわたくしの言葉に苦笑を浮かべ、すぐに真剣な表情になりました。その顔を見たわたくしも、軽く目を細めたのです。
「単刀直入に言わせてもらう。あんたの力が必要だ」
「それはどういったことなのでしょうか? あなたがわたくしの主になるのは、無理だと思うのです」
「安心しろ。お前の主は、すでに目星をつけてある」
彼の言葉に、わたくしは軽く目を見張りました。
「黒い粒子」
「っ!」
その言葉に、わたくしの肩がピクリと上がりました。その名前は、わたくしの記憶の奥底に眠る、忌まわしい存在でした。
「今、外で黒い粒子がこの世界に侵攻してきている。それを浄化するためにも、あんたの光の力が必要なんだ」
「……そうなのですか」
黒い粒子……。
どうしてまた、そんなものがこの世界にやってきたというのでしょうか? あの黒い粒子は、エーデルとラグの浄化の力で、完全に浄化しきったはずなのです。まさか……浄化しきれなかったというのですか?
「おそらくここにいたエーデルは、誰よりもはやく、この世界に黒い粒子がやってくることを知っていた。それを自分の力で抑えていたんだと思う」
「エーデルは?」
わたくしの言葉に、彼は首を横に振りました。
どうやら彼女にも……限界がきてしまったのですね。
「わかりました」
座っていたわたくしは立ち上がり、そのまま彼の傍へと寄りました。
「その黒い粒子は、わたくしがなんとかするのです。わたくしを主の元へ連れて行ってください」
「ああ、任せろ!」
彼はそう言うと、わたくしへと手を伸ばしました。その手を見つめ、ためらうことなく彼の手を取った時、彼から懐かしい魔力の波動を感じたのです。
それは、かつてわたくしたちを導き、誰よりも心からエア様を愛していた彼の魔力に酷似していました。
「あなたは……まさか」
「ふっ。俺はただの旅人さ」
「……ふふ」
彼の言葉に、わたくしは柔らかな笑みをこぼしました。彼の正体が誰であれ、わたくしはこの出会いに運命を感じたのです。
声が聞こえました。ずっと温かい光の中で眠っていたわたくしの元へ、突然その声は降ってきたのです。
「あんたが光の巫女か?」
懐かしい呼び名を聞き、閉じていた黄金の瞳を開くと、彼の姿が目の前にありました。
最初は彼の姿に驚きましたが、すぐに。
「あらあら、まあまあ! ここに人が来るなんて初めてのことなのです」
久しぶりに人と話せるのが嬉しくて、わたくしは彼の存在を怪しむどころか、心から受け入れたのです。
それに、彼と一緒にいる二人を見れば、彼が悪い人ではないとすぐに判断できました。彼らが放つ温かい魔力は、わたくしを安心させてくれたのです。
「俺のことを怪しまないのか?」
「はい、怪しみませんよ? だってあなたの傍にいる二人を見れば、あなたが悪い人ではないとわかるのですから」
そう言ってわたくしは、にこやかに微笑みました。
すると彼はわたくしの言葉に苦笑を浮かべ、すぐに真剣な表情になりました。その顔を見たわたくしも、軽く目を細めたのです。
「単刀直入に言わせてもらう。あんたの力が必要だ」
「それはどういったことなのでしょうか? あなたがわたくしの主になるのは、無理だと思うのです」
「安心しろ。お前の主は、すでに目星をつけてある」
彼の言葉に、わたくしは軽く目を見張りました。
「黒い粒子」
「っ!」
その言葉に、わたくしの肩がピクリと上がりました。その名前は、わたくしの記憶の奥底に眠る、忌まわしい存在でした。
「今、外で黒い粒子がこの世界に侵攻してきている。それを浄化するためにも、あんたの光の力が必要なんだ」
「……そうなのですか」
黒い粒子……。
どうしてまた、そんなものがこの世界にやってきたというのでしょうか? あの黒い粒子は、エーデルとラグの浄化の力で、完全に浄化しきったはずなのです。まさか……浄化しきれなかったというのですか?
「おそらくここにいたエーデルは、誰よりもはやく、この世界に黒い粒子がやってくることを知っていた。それを自分の力で抑えていたんだと思う」
「エーデルは?」
わたくしの言葉に、彼は首を横に振りました。
どうやら彼女にも……限界がきてしまったのですね。
「わかりました」
座っていたわたくしは立ち上がり、そのまま彼の傍へと寄りました。
「その黒い粒子は、わたくしがなんとかするのです。わたくしを主の元へ連れて行ってください」
「ああ、任せろ!」
彼はそう言うと、わたくしへと手を伸ばしました。その手を見つめ、ためらうことなく彼の手を取った時、彼から懐かしい魔力の波動を感じたのです。
それは、かつてわたくしたちを導き、誰よりも心からエア様を愛していた彼の魔力に酷似していました。
「あなたは……まさか」
「ふっ。俺はただの旅人さ」
「……ふふ」
彼の言葉に、わたくしは柔らかな笑みをこぼしました。彼の正体が誰であれ、わたくしはこの出会いに運命を感じたのです。


