​しかし、魔剣サファイアは、私の熱情と焦りを冷徹に撥ねつけた。

どれほど魂を傾けて呼びかけても、彼女は魔力をまとうことを許してくれない。

それどころか、私は彼女の声を、その存在の片鱗すら感じたことがなかった。

​先生は二振りの魔剣と、親密な会話を交わしていた。

先生は言った。「魔剣の声は、守護者であれば誰もが聞き取れるはずのものだ」と。

それなのに、私には彼の魔剣たちの声も、そして私の剣であるサファイアの囁きさえ、一度も届いたことがない。

​「今のままでは、お前は完璧な守護者とは言えない」
――先生のその一言は、私を深く抉った。

​完璧な守護者でなければ、サファイアの根源的な氷結の力を、その真価のまま引き出すことはできない。

それは、主として認められていないと同義だった。

自らの存在意義を否定されたようで、その悔しさは、私の胸の中で冷たい塊となって固まった。

​どうして私はサファイアの主でありながら、彼女の声を聞くことさえできないのだろう?

剣に選ばれたはずの私が、なぜこの剣の力を使いこなせないのだろう?

​その自己不信が頂点に達していた時、あの過酷な戦いで、私はサファイアの刀身に致命的なヒビを入れてしまった。

​真の主、完璧な守護者ならば、魂を注ぐことで、その程度の損傷は瞬時に修復できる。

だが、私は違う。

今の私は、サファイアにとって「仮の主」に過ぎない。

ヒビを治すためには、私の微弱な力では長い時間をかけて魔力を注ぎ続ける必要があった。

​あの時、敵であるヨルンから向けられた嘲笑まじりの言葉は、私に決定的な未熟さを思い知らせた。

​私は未熟だ。

どれほど血の滲むような努力をしても、肝心のサファイアに拒絶され続けている。

この力を、心から尊敬する先生のために振るいたいのに、その願いが叶わない。

守護者としての使命を、私は全うできていない。

​「悪いな、カレン」

​先生が再び旅立ち、私の前から姿を消した六年前。

あの時も、私はただ彼の背中を見送ることしかできなかった。

先生が何を求め、どこへ向かい、その先にどのような途方もない目的を抱えているのか。

その核心的な真実を、先生は私には一切明かしてくれなかった。

​その隔たりが悔しくて、悲しくて、苦しくて――私は、ただひたすら一人で努力を重ねる道を選ぶしかなかった。

「氷結の魔道士」、「氷の女神の加護を受けし少女」。人々が私に贈る、その輝かしい二つの称号は、時が経つにつれて祝福ではなく、私の未熟さを隠すための重く冷たい仮面となっていった。