「お願い……サファイア。みんなを……ソフィアを、助けて!」
冷たい牢の石床に倒れ込み、意識が遠のく中、私はただ、その名を叫び続けた。
体は鉛のように重く、声もか細い。
届くはずがないと知りながら、他に何もできなかった。
次に意識が浮上したとき、私の手のひらには、見覚えのない美しい剣が握られていた。
透き通る青い刀身は、まるで研ぎ澄まされた氷のようだ。
いつ、どこで手に入れたのか、その記憶は一切ない。思い出そうとすると、記憶は白い靄がかかったように沈み込んでいく。
まるで最初から、私の手のひらに収まるべくして、そこにあったかのように。
混乱する私に、側にいてくれた先生が静かに語りかけてきた。
「お前は今日から、この魔剣サファイアの主だ。そして、お前は八人の守護者の一人となった」
魔剣とは何か。守護者とは何なのか。
幼かった私には、その言葉の意味を理解することは難しかった。
ただ、この剣が私にとって特別な存在であることだけは、本能的に理解していた。
成長するにつれて、守護者としての自覚と、課せられた使命をやり遂げるという思いが、私の内側で強く育っていった。
私は、無知で何も知らなかった過去の自分に戻りたくない。
だから、誰よりも剣の鍛錬に励み、先生から氷結魔法の教えを乞うた。
日に日に強くなっていく手応えを感じ、「そろそろ魔剣サファイアの力を試してみよう」と思った矢先、先生に告げられた。
「今のままでは、魔剣サファイアの魔力を完璧に使いこなすことはできないぞ」
その言葉の意味が分からず、私は首をかしげた。
先生が言う「完璧に使いこなす」とは、ただ剣を振るうことではない。
それは、魔剣と自分の意識を一つにすること。つまり、魔剣サファイア自身の膨大な魔力を、その身にまとうことだった。
それは、己の魂を魔剣と一体化させるような、危険な行為だと先生は警告した。
現在、この世界で公に確認されている魔剣は、サファイアと、もう一本のマールの二本だけとされている。
しかし、真実を知っているのは、私とマールの持ち主であるセイレーン、そして私の師である先生だけだ。実際には、既に五本の魔剣の存在が確認されていた。
先生は、その内の二本を所持しており、常に魔剣の力をその身にまとい続けている。
彼の体から放たれる圧倒的な魔力は、触れるだけで鳥肌が立つほどだった。
私は、そんな先生を心から尊敬していた。
早く先生のようになりたい。
早く先生の力になりたい。
その一心で、私はサファイアの魔力をまとうことができるよう、必死に努力を続けた。
それは、過去の自分との決別であり、未来への切実な希望だった。
冷たい牢の石床に倒れ込み、意識が遠のく中、私はただ、その名を叫び続けた。
体は鉛のように重く、声もか細い。
届くはずがないと知りながら、他に何もできなかった。
次に意識が浮上したとき、私の手のひらには、見覚えのない美しい剣が握られていた。
透き通る青い刀身は、まるで研ぎ澄まされた氷のようだ。
いつ、どこで手に入れたのか、その記憶は一切ない。思い出そうとすると、記憶は白い靄がかかったように沈み込んでいく。
まるで最初から、私の手のひらに収まるべくして、そこにあったかのように。
混乱する私に、側にいてくれた先生が静かに語りかけてきた。
「お前は今日から、この魔剣サファイアの主だ。そして、お前は八人の守護者の一人となった」
魔剣とは何か。守護者とは何なのか。
幼かった私には、その言葉の意味を理解することは難しかった。
ただ、この剣が私にとって特別な存在であることだけは、本能的に理解していた。
成長するにつれて、守護者としての自覚と、課せられた使命をやり遂げるという思いが、私の内側で強く育っていった。
私は、無知で何も知らなかった過去の自分に戻りたくない。
だから、誰よりも剣の鍛錬に励み、先生から氷結魔法の教えを乞うた。
日に日に強くなっていく手応えを感じ、「そろそろ魔剣サファイアの力を試してみよう」と思った矢先、先生に告げられた。
「今のままでは、魔剣サファイアの魔力を完璧に使いこなすことはできないぞ」
その言葉の意味が分からず、私は首をかしげた。
先生が言う「完璧に使いこなす」とは、ただ剣を振るうことではない。
それは、魔剣と自分の意識を一つにすること。つまり、魔剣サファイア自身の膨大な魔力を、その身にまとうことだった。
それは、己の魂を魔剣と一体化させるような、危険な行為だと先生は警告した。
現在、この世界で公に確認されている魔剣は、サファイアと、もう一本のマールの二本だけとされている。
しかし、真実を知っているのは、私とマールの持ち主であるセイレーン、そして私の師である先生だけだ。実際には、既に五本の魔剣の存在が確認されていた。
先生は、その内の二本を所持しており、常に魔剣の力をその身にまとい続けている。
彼の体から放たれる圧倒的な魔力は、触れるだけで鳥肌が立つほどだった。
私は、そんな先生を心から尊敬していた。
早く先生のようになりたい。
早く先生の力になりたい。
その一心で、私はサファイアの魔力をまとうことができるよう、必死に努力を続けた。
それは、過去の自分との決別であり、未来への切実な希望だった。


