パチパチと焼ける今日のメインディッシュは、カエルの野草包み焼き。

聞こえはグロいけど、ごちそうなのである。

ここに来た頃のあたしじゃ絶対に見ただけで吐く自信ある…


乾パンを「意外とおいしい」とか、みそ煮缶で炊いたごはんを「たったこれだけでも」とか、散々なことを言っていたなと、自分のアホさが嫌になる。

今思えばあれは、最高級レストランレベルの食事だった。


誰よ、カエルは鶏肉の味がするなんて言ったの。

土臭くて生臭くて、カエルはカエル味だよ!

それでも、カエルならまだマシで、本当に魚、カニに次ぐごちそうなの。



何日か前に食べたのは大きなダンゴムシ。

もう本当に嫌で嫌で仕方なかったけど、エビの仲間だからって言われて頑張って食べた。

殻がいつまでも苦々しく口の中に残るし、肝心の身なんかほとんどない上に土の味しかしなかった。


しかも、少ししてみんなで中毒になって、一時は全滅かもって考えが頭をよぎるくらいだった。

舌がなんとなく痺れるなって思ったら頭がクラクラして、吐いて、吐いて、吐きまくって。

吐くものがなくなったら暫くして治まったけど、危なかった。

前に食べられると聞いたことがあると阿久津さんが言っていたけど、きっと毒のないものと有毒の種類がいるのだろう。

それか、なにか毒を抜く下ごしらえが必要なのかもしれない。

ジャガイモだって芽を除かないとだめだし、フグだって。

とにかく知識のない者が安易に取り扱っていい食材ではないことは確かだ。

もう虫はやめておこうとなって、カエルをせっせと捕まえる毎日だ。


森の側に川がある時は、少々の危険をおかしてでも早朝のカニ獲りを決行する。

カニだって川の臭さはあるけど、それでも食べたことがある味がちゃんとする。

魚の時と違って、お腹も下さない。


とりあえず、カニはあたしたちにとって一番のごちそうだというのは間違いない。

でも今日はカエル。

これだって、ごちそう。

自分にそう言い聞かせて、口に運ぶ。


そんな毎日。




火を熾すのは昇さんが一番上手らしく、反対に阿久津さんはからっきしだという。

俺がはぐれて独りになったら火が熾せなくて死ぬと言っていた。

だけどそのかわり、カニやカエルを一番多くつかまえる。


それから、山根さんは食べられる葉っぱを見分けるのが得意。

この3人だから、こうしてジャングルの中でも生きて歩いていられるんだなと思う。


あたしは…何の役にも立っていない。

夜になると熱がでたりしてみんなを心配させてしまったりもするし。


一晩で回復するのは若い証拠だ、なんて昇さんが言ってくれたけど、相変わらず以前みたいには笑っていなくて、あたしは嬉しいのとさみしいのでへらへらと変な笑いしか返せなかった。


もう、前みたいには戻れないのかな…