「忠告……?」
ますますわけが判らなかった。
店長には何が、どんな光景が見えているのだろう――?
*
――などと店長が推理する間もあらばこそ、さらに日は巡る。
とうとうクリスマス・イブを迎えた。
商店街の中央にはクリスマス・ツリーが立ち、軒先を彩るイルミネーションも派手さを増す。お祭りムードは最高潮を迎えていた。
この日は、周辺の住宅地からどっと人が押し寄せる。年間を通じてもめったにない混雑でごった返す。
場末の古物時計店『時ほぐし』も、多少はそのおこぼれに預かれたのか、今年最高の来客数を記録した。
客足が増えれば購入者も増える。買わずに帰る人も居たが、この店を知る機会にはなったし、いつか買ってくれるかも知れない。認知度が高まるだけでもありがたかった。
「店頭販売も伸びましたけど、通販はさらに上ですね、店長!」