今朝、掃除する姿を見ていた?

 確かあのとき、店の前に居たのは例のカップルだけだった。

 ということは――。

(この人……今朝の青年客(・・・・・・)!?)

 本物のブランド品を着飾った、エリート大学生だ。


『今日はカノジョと店へ寄ったんですけど、店員さんも可愛かったですよ! 俺、あなたのようなフォーマルで、ちょっと陰のある人が好きなんですよ!
 今のカノジョは見栄っ張りだから内心、疲れちゃって……。店員さんの美しいお姿が、心の静養になりました!』


 カノジョは見栄っ張り――。

 彼氏じきじきの証言を得られた。

 思った通り、あの女性客は虚栄心が強いのだ。偽物のルイ・ヴィトンで全身を着飾るほどに。

(ていうか、この青年、私に熱烈なアピールして来てますね……お金持ちな人ほど好色なんでしょうか……女を金で買えると思ってるとか?)