あのカップルには秘密が隠されている予感がする。

 単なる貧富の差を超えた恋愛ではなく、もっと別の真相が――。

「そうそう、先ほどネット通販と言いましたが」

 店長が時花の肩を叩き、店内へ促した。

「良い機会ですから、風師さんも通販サイトの操作をお教えしましょう」

「えっ? よろしいんですか?」

 時花はまぶたをしばたたかせた。

 一通りパソコンの使い方は心得ているが、飽くまで経理や事務での使用である。

 つまり、新たな業務を任せられるほど時花が信頼を得た証左であり、時花の勤勉さが評価されたことも意味している。ただしドジなので、使いこなすには時間が()りそうだが。

「本日はまだお客様がいらっしゃいませんから、隙間の時間を利用して覚えましょう」

「よろしくお願いしますっ」

 時花は胸が弾んだ。現実の胸囲は小ぶりで弾む余地などないのだが、それはともかく。

 うきうきとスキップを踏みつつ、レジの後方にある扉から事務室へ移ると、さっそくラップトップ・パソコンの前に座らされた。

「では風師さん、まずは顧客対応から覚えましょうか」