一件落着、ということにしよう。

 ほっと胸を撫で下ろす時花は、肩をそびやかす店長と顔を見合わせて、互いに笑った。

「今回もお疲れ様でした、店長」

「当然のことをしたまでです」片目をつぶる店長。「喜んでいただける人のもとに、最適な品物を贈る……それが僕たちの幸福です。時計とともに歩んで行く時間こそが、人の心を解きほぐす(・・・・・)のです」

 そのために店長は独立したのだ。

 最高の営業スマイルが、そこにあった。

 時花は彼の笑顔に魅入られた。見れば見るほど顔面が熱くなる。頭から湯気が出る。

(私、このお店に再就職できて良かったです!)

 心の底から、そう思える。

 古物時計店の『時ほぐし』。

 時計のことなら彼にお任せ。ここには想いを(きざ)むエキスパートが、皆様のご来店をお待ちしている。



第一幕――了