相変わらずドジである。店長は高らかに絶笑した。
「むぅ……わ、笑わないで下さいよぉ……」
「あはは、済みません。しかし、それでこそ時花さんです。あなたのドジに幾度となく救われました。それは純然たる事実です」
「は、はぁ……またもや素直に喜べないですね……」
乙女心は複雑だ。
ドジは少ないのが望ましい。しかし店長は、ドジあってこその時花だと奨励している。
「あなたはあなたのままで良いのです」パソコンを打つ手を止める店長。「僕はドジな時花さんを雇ったのですから、ね」
店長は快活に片目をつぶった。
美貌から放たれるウィンクは、時花のハートを直撃する。たまらず脳がとろけそうになり、拾い集めた書類を再び床に落としてしまった。
ドジである……だが、これで良いのだ。
こんな時花だからこそ、店で働く資格を得たのだ。
「時花さんは先日、『時ほぐし』が好きだと言って下さいましたね。僕もそんな時花さんが好きですよ」
「えっ!?」