鑑定士はソファにうなだれた。時花に気圧されて、すっかり覇気を失ったようだ。
「店長、これで一件落着ですか?」
「ははは。時花さんの啖呵も侮れませんね」相好を崩す店長。「やはり僕が見込んだ通りの女性です。研修期を経て、一人前に成長しましたね」
「はへっ? あっ、いえ、べ、別に私は、ついカッとなって見境が付かなくなっただけでして……あぅあぅ」
みるみる頬が赤くなった。
後先考えず突っ走った軽挙と、思いの丈を吠えまくった暴言。
時花の本音が、人を動かしたのだ。
全力をぶつけなければ、世界は変わらないから。
時花はまさに今、それをやってのけた。
つたないながらも、店員の立場から訴えかけた。全身全霊で主張してみせた。
(やっぱり私は『時ほぐし』が好きです……研修期で終わらずに済んで良かったです!)
彼女にとって、今日がかけがえのない転機となったのは間違いなかった。
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