「ああ……そうだとも。その通りだ!」

 鑑定士は観念したのか、はたまた開き直ったのか、自暴自棄にぶちまけた。

「以前から質入れ品を贋作とすり替え、私腹を肥やしていた……低収入を補うために!」

「だからって――」

「贋作を自ら装着し、本物のように愛用して客を信じさせ、すり替える手口も覚えた!」

 石上に用いた手法がこれだ。

 質入れ品と類似した贋作をいくつも隠し持っていれば、客に応じてすり替えられる。

「アクアノートが『時ほぐし』の販売だと知ったとき、怒りが爆発した! 貴様ら時任と矢陰が独立したせいで、我が身は落ちぶれたのだからな! 絶対に許せん!」

「は? 逆恨みも甚だしいですね」顔を突き合わせる店長。「元はと言えば、僕と光さんを退職させたあなたの責任でしょう? 人のせいにするのは不条理ではないですか?」

「黙れっ! 貴様に一泡吹かせるために、贋作販売の流言もネットでばらまいたの――」


「冗談じゃないですっ!」


「――だ?」

 時花もまた、テーブル越しに顔を突き合わせた。

 鑑定士の屁理屈に、さしもの時花も堪忍袋の緒が切れた。