「はい。明確な『時ほぐし』への名誉棄損・営業妨害です……が、出どころが不明だと対処できませんね……ネットの元をたどっても、痕跡が消えている可能性は高いですし」
「出どころは――」
――石上三年に決まっている。
時花は断言したかったが、確証がない。店長も乾いた笑みを浮かべるのみだ。
「証拠がないと動けませんね……こうする間も、当店に不信感を抱いて退会したいというメールまで届いています。このままでは顧客の大半を失いかねません……大打撃ですよ」
追い詰められた。
敵の根回しが早すぎる。
害意をひしひしと感じて、時花は二の句が継げなくなった。
この日、店長は閉店まで苦情の対応に追われた。接客する時花も、冷やかしや野次馬ばかり訪れて、まともな商売が成立しなかった。店外からも、道行く人に後ろ指さされる。
こういうときの口コミは恐ろしい。じわじわと外堀を埋められて行くのだ。
なす術、なし……?
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