なるほど、ネット通販さまさまだ。

 インターネットで知らしめることで、初めて日の目を見た商品は数知れない。高級品ともなればなおさら、少ない好事家へいかにアピールするかが肝要となる。

「仕入れ時に正規の保証書を用意しましたし、偽物のわけがないのです――……が?」

 ふと、店長の声が凍り付いた。

 本日二度目のフリーズだ。寒さのせいでは絶対ない。

「どうしたんですか、店長?」

「いや、こんなことが、しかし……」笑顔が引っ込みかける店長。「このアクアノートを三年前に管理していた在庫担当者は、もしや!」

「在庫担当者?」

「品物を入荷した責任者です。それは僕ではなく、かつて居たもう一人の店員――」

 その名は、パソコンにしっかり記載されていた。


 在庫担当者――矢陰(やかげ)(ひかり)


 矢陰光!

 ごくり、と生唾を飲み込む。