「お疲れ様です、時花さん。外見は本当に光さんとそっくりでしたよ。お見事です」

「店長に褒められると、やった甲斐がありましたっ。似てたなら安心です!」

「はい。それはもう、生き写しのように――」

 時花を見据えた店長が、ふと懐古を醸した気がした。

 無理もない。光はかつての恋人だったのだ。理不尽に生き別れたともなれば、懐かしさがこみ上げるのも当然だ。

 時花は店長の熱視線に、自らもまた熱を帯びた。照れる。顔が真っ赤に染まる。

 ごまかすように話題を変えるのが精一杯だった。

「と、ところで店長、物持ちが良いですねっ。このドレス、光さんが着ていらっしゃったんですよね? 生地も傷んでいませんし、汚れ一つありません。よほど大事にしまっていたような……」

「ええ。いつか光さんが生還することを、僕も夢見ていましたから」

「店長……」

 ふらり、と店長がよろめいた気がした。

 それは時花に手を伸ばし、前傾し、距離を詰める挙動だった。

 ――抱き締める。

「ひゃっ!?」