「光陰矢のごとし、ということわざがあるでしょう? 光陰とは光と影の移り変わり、すなわち『時の流れ』を意味する単語です」
「あ! 時間に関連した格言ですね! だから気に入ったんですか」
時花はポンと手を叩いた。
そうだ。この店長は、時間にまつわる語呂合わせを重視する妙なこだわりがある。
「それで、時花さん? 光さんを見て、何をするつもりですか?」
「は、はい。年末年始を使って、一つの仕掛けを用意したいんです」
「仕掛け?」
「老紳士をアッと驚かせる、一世一代の荒療治です。下手したら猛反発を受けるかも知れませんけど、過去の遺恨を断ち切るには、これしかないです!」
正月に向けて、何をするつもりなのか。
時花は大見得を張り続けた。
*
ア・ハッピー・ニューイヤー。
かけ声がそこかしこで交わされている。