そこにあったのは、四季折々のデート写真だ。

 正月の晴れ着に始まり、二月はバレンタインのデート、三月はホワイトデーでジュエリーを買いに、四月は花見に、五月は下町の鯉のぼりを背景に、六月は初夏の海辺に、七月は水着でナイト・プールに、八月は浴衣で縁日に、九月は月見に、十月はハロウィンの行列に、十一月は紅葉狩りに、十二月はクリスマスに……。

 さらには、肩を露出したフォーマル・ドレス姿で、女性が店内で撮った一枚もある。

『開店記念』

 と銘打たれていた。

 こんな社交界みたいな格好で仕事していたのか。確かにフォーマルではあるが。

「綺麗な人ですね……」

 我知らず、見とれる。

 同性から見ても、美人だと思った。

 黒髪の、涼やかな、線の細い清廉な大和撫子。触れただけで折れてしまいそうな、箱入りの令嬢と言った風情の淑女が、店長の隣に寄り添っている。

「私に……似てますか、これ?」

 早くも頓挫した気分に陥った。