「駄目ですっ!」

 時花は机を叩いた。

 前のめりになって、机上へ矮躯(わいく)を乗り出す。

 店長に顔が肉迫した。

 かつてない至近距離で、いつになく強気な時花ががなり立てる。

「店長。私って、その彼女さんに似てるんですよね? 店長が私を採用したのも、結局は彼女さんの幻影を私に見出したからじゃないですか?」

「ま、まぁ、それもありますが……」

「なら、私にいい考えがあります!」

 時花は顔を引っ込めると、今度はエッヘンとふんぞり返った。

 自信満々に胸を叩いて、一人でむせ返る。

 ドジな時花だからこそ、ドジを利用した『解きほぐし』方法が一つある。たった今、それを思い付いた。

()計のお悩み解消に、ひと()咲かせましょう。それが風師時花(・・)の解きほぐしです!」



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