嵐が去ったように、店内はしんと静まり返る。
店長がやれやれと自嘲げに笑う中、時花は謎解きのピースが嵌まった気がした。
時花の原動力は、店長への関心である。愛する店長に『女の影』があったというだけで、嫉妬にも似た活力が湧いて来るのだ。
(私の他にも、若い女性店員を雇用していたんですね……もしかして貸与されているスーツも、その人のお古だったりして!)
視界を覆う霧が晴れて行くように、時花は世界が鮮明になった。
ピースがどんどん埋まって行く。日常の謎が解きほぐれる。
ヤキモチも焼けまくりだ。
頭に血が昇る。胸がムカムカする。実に腹立たしい。
「店長……私、解けました」
「ほう?」
「あの老紳士の正体も、過去も、何となくですが予想が付きました! 聞いて下さい!」
時花は息を整えてから、解答編を開幕した。
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